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2017年9月13日水曜日

後輩の死

 高校時代、一時期同人創作にはまっていたことがあった。
 拙い漫画を描いたり、小説を書いたり、まあ部活動のノリでそれなりに楽しかった。
 三年間のうちにコピー誌を何度か発行し、小規模な即売会にも参加した。
 自分が二年生になった頃には自分がこんな事をやっていることが周りに知れ渡り、ひょんなきっかけで中学時代の後輩が活動に参加する事になる。何度か漫画を描いてもらったけど、結構面白い絵柄で、それを目当てにコピー誌を買ってくれるお客さんなどもいた。
 自分は卒業と同時に故郷を離れ、その後戻っていない。同人活動もまったくやらなくなり、当時の仲間達とも疎遠になり、連絡を取ることもなくなって久しい。
 ところが、昨晩、仕事がらみで録音スタジオをネット検索していたところ、バンドをやっている個人のブログにふと懐かしい名前がよぎり、スクロールしてみるとやはり当時の後輩だった。
 その頃からマルチな才能の片鱗を見せていたのでいずれクリエイターの道に進むのだろうとは思っていたが、どうやらインディーズバンドでボーカルを務めるかたわら、演劇の脚本を書いたり、舞台監督をやったり、当時の才能がそのまま伸びて、順調に花開いていたことが嬉しかったり懐かしかったり。身長はあれ以来まったく伸びていなかったらしいけど。
 だが、記事の最後で凍りついた。
 慌てて名前検索して、検索結果を片っ端から読み込んでみるがやはり間違いなかった。
 彼女は2005年にこの世を去っていた。もう十年以上にもなる。
 自分より二学年下なのでまだまだ若く、あれだけの才能があればいずれ世に出たであろう事は間違いない。神がもしいるとしたら、なぜあんな才気溢れる人をこんなに早く…と恨み言の一つも言いたくなる。
 彼女の名前は「カンガワサトミ」という。
 このまま彼女の名前が人々の記憶から薄れ、ネットの狭間に埋もれてしまうことが惜しく、せめてもの追悼にこうして駄文をしたためる。