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2013年1月20日日曜日

ボーイング787の緊急着陸はGSユアサのリチウムイオン電池が悪いのか?


山口空港から羽田に向かっていた全日空のボーイング787型機が高松空港に緊急着陸し、その後のニュースで真っ黒焦げになったバッテリーが運び出される映像が流れたことで、僕の周りにも「リチウムイオン電池は怖いよね」という声が多い。彼らは声を合わせてGSユアサのバッテリーを酷評する。
だが、待ってほしい。
電池が発火する原因としてあげられるのは第一に過充電、そして過放電が挙げられる。いずれもバッテリーの性能以上の急激な充電や放電を行うことが原因だが、実はこれらを制御しているのは「充放電コントローラ」と呼ばれるバッテリー外部のユニットである。特にリチウムイオン電池の場合、この充放電コントロール(充電時の電圧と電流値の制御)を厳密にやらないとバッテリーは一発で損傷する。間違っても車用の鉛蓄電池と同じに考えてはいけない。
ユアサが納入した電池にも保護回路は搭載されていたはずだが、今回の場合、どうもユアサはフランスのメーカーにバッテリーセルを幾つか束ねたユニットを納入し、その外にフランスのタレス社が設計、製造したシステムを追加し、これらをひとまとめにして「電源変換装置」としてボーイングに納入したと聞く。電源変換装置全体の包括関係は以下のようになる。
〈「(バッテリーセル)-(バッテリーセル)-充放電コントローラ」-インバータ回路〉
今回の場合、複数の同型機で同様の障害が出ていることから、バッテリーセル単体の不良の可能性はかなり低く、充放電コントローラー、あるいはインバータ回路の設計ミスの可能性が一番高いように思われる。
それぞれ別々の国でバラバラに作られた製品であり、こんな時はインターフェース部分のマッチングが一番の問題になる。規格通り作られていない箇所が一箇所でもあると、系全体の最もデリケートな部分に負担が集中する。今回はそれがバッテリーだったということではないだろうか。
今回の一連の事故をよくみてみると、ローガン空港ではAPU(補助動力装置)が発電を開始した時点、高松空港緊急着陸の場合は山口離陸後、メインエンジンの発電機から電気が供給された時点で発煙している。
いずれも電力母線に発電機側から電力が送り込まれた事がキッカケになっている。リチウムイオンバッテリーに充電する電圧と電流はもちろん過大であってはならず、充電当初は電流を一定に保ち、バッテリーの定格まで回路電圧が上昇した時点で今度は電圧を一定に保ち、電流が完全に流れなくなったら充電を中止しなくてはならない。だが、制御すべき電圧を間違えたり、大電流を際限なく流しこんだりすればどうだろうか?
あるいはタレス社のインバーターが定格を超えた電力をバッテリーに要求したらどうなるだろうか?
また、過充電や過放電により一旦バッテリーセルの温度が上がり始めると、リチウムイオン電池は「熱暴走」と呼ばれる厄介な現象を起こす。
発生した熱でバッテリーセル内部の化学反応が異常加速し、さらに急激に発熱、最後には燃え上がってしまうというもので、今回は(黒焦げになった写真を見る限り)熱暴走が最後まで行き着いてしまったようである。
過充電、過放電、あるいはその他の要因いずれが異常発熱の原因になったかについては、今回の事故機のもの含め787全機を調べ、バッテリーセルのどの部分でどのような変化が起きているかを調べればかなり詳しく(過充電、過放電のいずれが原因か)判る。
実際、世界中の787で遅かれ早かれ今回のような事故が起きる可能性があったわけで、今回は誰の命も失われることなく事故調査フェーズに移行できたことは不幸中の幸いだと思う。少しでも早く事故原因が完全に(国や企業の圧力を受けず)解明されることを心から願う。

2013年1月19日土曜日

リチウム電池の宅配便輸送に関して調べてみた


たまたま実家にタブレット端末を送る事になり、近所の郵便局に持ち込んだ所、
「航空輸送できませんので陸路になります。通常より日数かかりますけどよろしいですか?」
と訊かれた。ボーイング787の緊急着陸などもあり、ああそうか厳しくなっているんだなあと漠然と理解して「はい、お願いします」と答えたのだけど、本当にゆうパック(航空貨物)として送ることができないのかというと、実はほとんどの場合できる。というかできなきゃ困る。
特に電池と一体になって取り外すことのできないタブレット端末などの場合、電池だけ外して現地で手配してくださいなんてことも不可能なわけで、知らないこちらも悪いが窓口の担当者は勉強不足だったわけだ。

では、具体的にどうやって送るか。
結論から言うと、日本郵便のこのページを参考に、ラベルをプリントアウトして「種類」「包装基準」「連絡先電話番号」を記入の上荷物に貼り付けて窓口に出せばよい。
ところが、である。電話番号はともかくとして、「種類」「包装基準」についてどう判断すればよいのか、このページの記述だけではさっぱりである。
その親ページに「お知らせ」としてもう少し詳しい記載があるが、これでもまだ良くわからない。
そこで、自分の理解ついでに大雑把に解説してみることにする。

僕らが送ろうとする機器類(ノートPCやタブレット、スマホ、ビデオカメラ等)に搭載されているのはほとんどの場合、「リチウムイオン電池」と考えていい。電池パック単体が見られる機器の場合はパックの表面に「リチウムイオン電池」「Li-ion」「LiB」といった表記があるはずだが、無い場合は機器の仕様をWebやメーカー問い合わせで確認する必要がある。

次に「単電池」「組電池」の区別だが、これはセル数を示している。
かなり荒っぽい判断ではあるが、PCやビデオカメラ等の場合、電池の定格電圧が1.2~1.5V程度の場合は「単電池」、電圧がそれらの倍数(例えば2.4V~3V、3.6V~4.5V、4.8V~6Vあるいはそれ以上)の場合はまず組電池と判断して良い。(最近は薄型のリチウムポリマー電池など新手の電池も出てきているので断言はできないが)

次に電力量だが、これは電圧×電流で表すことができるので。電池に書かれているそれらの値から算出すれば良い。
手元にあるスマホのバッテリーには「3.8V 2100mAh」とあるので3.8×2.1=7.98Whということになる。もしWh標記がないときは計算した値をマジックで手書きするか、ラベルプリンターなどで電池パックに貼付する。(単電池の場合はWh表記は不要)

この時点で、単電池で20Wh以上、あるいは組電池で100Whを超える場合は航空輸送不可となる。

さて、ここまでクリアできたら、次は「種類」を判定しなくてはいけない。
電池単体で送る場合は「965」、機器から電池を取り外し、同じ梱包で送る場合は「966」、そして機器組み込みの状態、あるいは取り外し出来ない場合は「967」となる。(金属リチウム電池の場合は同じ条件で「968」「969」「970」となる)
で、それぞれの種類に合わせて包装基準は以下のようになる。この基準にそって梱包し、「包装基準」欄には先程の種類番号の頭に「PI」をつけて、例えば「PI966」などと書く。
梱包の条件は結構くどくど書かれているので簡単にまとめると、
  • 10キロを超える重い梱包はNG(電池単体の場合)
  • 電池にショートの危険があるような梱包はNG(水濡れなどの場合でも)
  • 一梱包に三個以上の電池は送れない。
  • 取り落とした時に電池に何らかのダメージが及ぶ梱包はNG
という事。まあ、そんなに厳しいわけでもない。念のため以下に原文を転載しておく。

「965」及び「968」の場合
  • 単電池及び組電池は完全に単電池又は組電池を閉じ込める内装容器に包装されなければならない。
  • 単電池及び組電池は短絡(ショート)を防ぐよう保護されなくてはならない。これには短絡をもたらす可能性がある同一の容器内の伝導性物質との接触に対する保護も含まれる。
  • 各包装物は1.2mからの落下試験をいかなる方向おこなっても以下のようなことが起きないものでなければならない。
     その中に収納されている単電池又は組電池への損傷
     組電池と組電池(又は単電池と単電池)とが接触するような内容物の移動
     内容物の漏出
  • 各包装物の総重量は10kg未満
「966」及び「969」の場合
  • 単電池及び組電池は完全に単電池又は組電池を閉じ込める内装容器に包装されなければならない。
  • 単電池及び組電池は短絡(ショート)を防ぐよう保護されなくてはならない。これには短絡をもたらす可能性がある同一の容器内の伝導性物質との接触に対する保護も含まれる。
  • 各包装物は1.2mからの落下試験をいかなる方向おこなっても以下のようなことが起きないものでなければならない。
     その中に収納されている単電池又は組電池への損傷
     組電池と組電池(又は単電池と単電池)とが接触するような内容物の移動
     内容物の漏出
  • 各包装物内に入れることができる組電池の最大個数は機器を駆動するために必要な最小の個数に2個の予備を加えたものである。
「967」及び「970」の場合
  • 機器は偶発的な起動を防ぐ効果的な手段を備えていなければならない。
  • 単電池及び組電池は短絡(ショート)を防ぐよう保護されなくてはならない。
  • 機器は組電池が収納されている機器により同等の保護が可能でなければ、容器の容量及び意図された使用方法に関わる十分な強度の適切な材料および設計により組み立てられた強固な外装容器内に包装されなければならない。
これらはゆうパックが遠隔地向け(陸路3日以上)貨物輸送には航空機を使うため、IATA(国際航空運送協会)の規定に従わざるを得ないための規定だ。ゆうパックが特に意地悪なわけではなく、陸路輸送が中心の佐川急便やクロネコヤマトも超速便などと呼ばれる速達便や沖縄などの島嶼向けに関しては本来同様の条件が課せられる。
たぶん、今までは現場の判断で受け取っていたであろうこれらの荷物の受け入れは、今回の事故を受けて一層厳しくなることが予想される。
また、現時点での情報を元に書いているので、今後条件が変わる可能性があることを添えておく。

2013年1月9日水曜日

「NWSΩType2」を超える最強金属は生み出せるか


NWSの正体が僕の勝手な想像に近いとすると、実は材料工学的にあの硬さを超える金属を作り出すのはかなり困難ではないかと考える。もはや対決のレベルが生産現場の知恵が追いつかない高みまで来ているからだ。
それでもまあ、あえて考えるとすると、前回の記事で取り上げた炭化ケイ素を超える硬さを持つ素材として考えられるのは、「炭化ホウ素」である。
別名ブラックダイヤモンドとも呼ばれ、ファインセラミックの中で最高の硬度を誇る。軽いくせに猛烈に硬く変形しにくいありがたい素材だが、加工が他の素材よりも格段に難しく、これまで量産ベースの話は聞いたことがない。日本タングステンのWebサイトを見ても、炭化ケイ素配合製品までは取扱があるが、炭化ホウ素については(少なくともラインナップには)見当たらない。
ところが、最近になって独立行政法人産業総合研究所(美少女?ロボット「HRP-4C未夢」を製作した組織)が炭化ホウ素の新しい焼結技術を開発した事で状況が変わってきた。
日本タングステンがこの手法を用いているかどうかは不明だが、情報は持っているはずなので実験室レベルでは再現可能だろう。ほこ×たてで用いられている試験体くらいの大きさなら恐らく作れるのではないかと思う。
炭化ホウ素の硬度はHV=最大3500程度とされているので、炭化タングステンをベースにお馴染みの二ホウ化チタン、加えて炭化ホウ素を配合し焼結することでHV=2700程度の材料は作り出せるのではないだろうか?
また、単純に硬さを追うのでなければ、材料の構造に工夫する方法もある。
番組の中で日本タングステンのエンジニアが「ミルフィーユのように多層構造にしては?…」と話していたのが印象に残った。これはアニメ「エヴァンゲリオン」の中で第五使徒ラミエルの貫通攻撃に対しネルフが多層装甲板でこらえたよう(マニアックなたとえでゴメン)に、繰り返し現れる猛烈に硬い層でドリルの消耗を狙い、間にある粘りのある素材が硬い層を支えて材料全体が割れてしまうのを防ぐという方法だ。
これなら硬さと割れにくさの両方を高いレベルで追求できるが、一方で硬い層そのものの厚さは材料全体の半分以下になってしまう。単純な理屈では固い層の耐久力が全体を同じ硬さにした場合の倍近くないと不利になる。
もう一つは表面コーティングである。
NWSΩType2は表面をテカテカに磨くことで手がかりをなくし、ドリルが材料に噛み付くのをできるだけ遅らせるという工夫がしてあったが、これを一歩推し進めて、表面にきわめて微小なダイヤモンドをコーティングするという方法があるだろう。
ドリル側がダイヤモンドの超砥粒を超硬パイプに電着している十八番を奪う形だが目的が違う。
ドリル側は刃としてダイヤモンドを使うのに対して、もっとずっと粒度の小さなダイヤモンドで表面にきわめて平滑な硬い防御層として配置するわけだ。
最強(硬い)金属という名目からすると若干これじゃない感が漂う上にかなり裏技っぽいので九州男児(?)のニッタンでは採用されないかもしれないが、次のチャレンジャーがどんな飛び道具を備えてくるのか分からないので検討の余地はあろうと思う。
ともかく、テレビ的には半年後くらいの再戦が望まれるところだが、いずれにしても求められるレベルが高くなりすぎているので、一年くらいは待つ必要があるかも知れない。待ち遠しいことである。

2013年1月8日火曜日

ほこ×たて「NWSΩType2」の正体は?


日本タングステンの中川内氏曰く「NWSΩType2」の正体は「企業秘密」ということだが、その成分を推測する上で大きなヒントになるのが硬さである。
番組中でもHV=2119(別の記事によると2190)という数値が出ていたが、これはビッカーズ硬度という硬さの単位を表している。ダイヤモンドの四角錐をテストする材料にぐいっと押し当てて、材料に残されたくぼみの大きさを基にして硬さを数値化するというもの。
詳しい数式はWikipediaでも見てもらうとして、地球上で最も硬いダイヤモンドそのものの数値がだいたい7000から10000程度。これを上限として、金属では純アルミがたったの30、一般的に硬い材料と考えられるステンレスで大体200程度、工具に使われるめちゃくちゃ硬い鋼材でやっとこさ700前後だから、この「NWSΩType2」硬さのほどが知れるというもの。
不二越の堀功氏がNWSの事を「人工(の金属素材)としては世界で最も硬い」と評しているのもあながち大げさな話ではない。
これに匹敵する硬さを持つものを自然界で探してみると、コランダムという鉱物がだいたい同じ。宝石としての呼び名でサファイヤとかルビーとか呼ばれる代物くらいしかない。
あとは隕石の中にほんの僅かに含まれるという炭化ケイ素(超硬ファインセラミックとして人工生成もされる)がHV=2300程度と非常によく似た硬度だったりする。
人工物としては、日本タングステンの十八番であろう炭化タングステンがだいたいHV=1700前後。
(初代NWSが確かそのくらいの硬さであったと記憶)、二ホウ化チタンがHV=2700程度。
そんなわけで僕は、炭化タングステンをベースに、二ホウ化チタン、加えて炭化ケイ素の微粉末を多めに配合し、そこに多少の鼻薬を効かせた上で高圧で押し固め、2000度くらいでじっくりじっくり焼きあげたものが「NWSΩType2」の正体だと想像している。
ただし、ベース材の炭化タングステンからして金属とは言いにくいし、セラミックの割合がここまで多くなるともはや最強「金属」と呼べるかどうかは疑問。まあドリル側もどう見ても「ドリル」とは言えない形状なのでおあいこか。
また、二ホウ化チタンや炭化ケイ素の比率をもっと上げれば確かにさらに硬くすることは可能だと考えるが、同時にこれらは大変もろい素材であり、配合比を上げすぎると対OSG戦の一回目のように割れてしまう恐れがある。ベース材との配合比は相当気を使ったのだろうと思われる。

民放バラエティ「ほこ×たて」が促す冶金工学上の進化(2)


2013年の年頭を飾るにふさわしい「ほこ×たて」名物の究極対決が放送された。
ご存じ「絶対に穴を開けるドリルVS絶対に穴の開かない金属」だ。
言うまでもなくこの企画は材料(冶金)工学と機械工学の対決なのだけど、対決した両者をよく知っているという人は理系出身であってもかなり少ないのではないかと思う。
最強金属を生み出した「日本タングステン」という会社自体、元は老舗の配電盤メーカーの下で地道に電極や電線材料を作っていたという出自に加え、TVCMも打たず、本社を未だに福岡に置いているという、いかにも九州の会社らしい質実剛健な社風もあって一般的にはそれほど有名ではない。
一方の不二越も、工場などで日常的にドリルや切削工具に触れたことのない人にとっては(たとえ「Nachi」というブランドを知っていたとしても)ほとんど聞いたことのないメーカーだと思う。
いずれも普通の人が身近に触れる最終製品(パソコンやテレビなど)を作っていない会社だからだ。
だが、実は日本の産業を支えているのは世界的に見ても高い技術的アドバンテージを持っているこれらの裏方的な企業なんだということは知っておいた方がいい。
ところで、今回対決した不二越も日本タングステンも、超硬合金の開発に関してはほとんど同業と言ってもいい。不二越が工具、ニッタンが素材という会社のカラーはあるけれど、似たような素材を相手に日々それぞれの研究開発にいそしんでいる。
両者が生み出す超硬合金の主成分はタングステンという重くて硬い金属で、1781年に世界で初めてこの金属を生み出したスウェーデンの言葉で「重い金属」を意味している。
以来、伝統的にスウェーデンの会社が強く、社員5万人、年間売上一兆円を超す世界最大の超硬工具メーカー「サンドビック」はスウェーデンに本社がある。
今回対決した不二越は町の名前や駅の名前まで社名が冠されていてかなりの巨大企業に見えるけど、グループ含め社員5600人、売上1600億円なので実はサンドビックのたった1/10の規模しかない。日本タングステンは社員377人、売上102億なのでそのさらに1/10だったりする。世界にはまだまだ上がいるのだ。
それはともかく、これらの企業が提供する超硬合金製品は極端な素材なので、やはりその用途は特殊な分野に限られており、スウェーデンほかアメリカ、イスラエルなどのメーカーを中心に軍用、航空・宇宙分野での需要が大きい。
逆に言うと日本のようにほとんどが民間向け中心でここまで超硬合金の研究開発が進んでいる国は他になく、この対決の前に不二越の堀氏が言われた「(最先端の)航空・宇宙分野に日本が貢献できるであろう、人工物としては世界最強の金属にきちんと穴を開けて、この金属が(単なるキワモノでなく有用な素材として)使えるという事を証明しなくてはいけない」という言葉は、じっくり読み解くときわめて深い。
そんなわけで、正月から日本メーカーの底力を見せつけられる素晴らしい番組だったのだけど、この先この対決がどうなっていくかという点にも興味がわく。
日本企業で超硬工具のトップメーカーは三菱マテリアルだが、優等生的な会社の性格からして勝敗の見えない勝負に出てくるとは考えにくい。海外大手では日本にも工場を構えるサンドビックがわずかに可能性があるかどうかといったところだろうか?
順当に行けばOSGの大沢氏が再戦を申し込んでくる可能性が最も高いとおもわれるが、さすがに三度目ともなるといささか執念深くて潔くない感じがする(エンジニアとしては逆に必要な資質だが)のでちょっと微妙。とすると、個人的には「ドリル」の定義を今以上に拡大解釈する方向に行くのではないかと予想。(OSGや不二越の製品はもはや「ドリル」とは言い難く、エンドミルに分類するべき)
例えば、超硬チップを先端に取り付けた特殊な切削工具(フェイスカッター)的なものや、ダイヤモンドの粉を混入したウォータージェットカッター、レーザー加工機などを無理矢理にでも「ドリル」として認めるかどうかというところだろうか?
いずれにしてもこれだけの名物企画に成長したのだから、諸外国のように軍需に頼らず、いかにも日本らしく民放のバラエティ番組で先端技術が進化するという不思議な現象の行末を最後まで見届けたいと思う。

2013年1月7日月曜日

民放バラエティ「ほこ×たて」が促す冶金工学上の進化(1)


2013年の年頭を飾るにふさわしい「ほこ×たて」名物の究極対決が放送された。
ご存じ「絶対に穴を開けるドリルVS絶対に穴の開かない金属」だ。

個人的には、対決自体もものすごく面白いのだけど、クライアントから金をもらい、CMのプライスパフォーマンスを最大の命題として考える民放のバラエティ番組が、事実上基礎工学の範疇に入る冶金工学上の進化を促しているという点が非常に興味深い。
本来、現代科学で実現可能と考えられる事で絶対に実現できないことはない。
それこそ火星に人を送ることだって、地球のコアまで穴を開けることだって、最高の技術者をそろえて国家予算レベルの予算をかければなんだってできる。
それが未だに達成できないのは、他にもっと金と人をかける必要がある問題がある、あるいはかけたコストに見合うリターンがないと大多数の人が考えているだけにすぎない。
当然、フジテレビはもちろん不二越も日本タングステンも民間企業、不況と言われる昨今、お金にならないチャレンジは普通なら出来ない。番組に向けて開発された超硬金属にしても究極ドリルにしても、現時点では用途自体が追いついていないわけで、言い換えれば「作っても売れない」商品でしかない。
しかし、今回の企画は番組制作をしているフジ側も予算に応じた高い視聴率や民放連の最優秀賞という効果が得られているし、対決した不二越にしても日本タングステンにしても、たとえ電通や博報堂に何億積んでも達成できないであろうCM効果を経営層が認めているわけで、三社ともにそれぞれ得をしている。その上で、地味な上に需要がなくて(企業所属のエンジニアが)やりたくても出来なかった工学上の究極のトライが経済的に成り立っているのだ。
公立の地方科学館に勤務し、地味かつお金にならない(と思われている)科学技術のインタープリテーションを命題とする自分たちにとって、この企画が示唆している現実は重い。

2012年11月23日金曜日

愛着のわく筆記用具を探し求める

愛着のわく筆記用具の筆頭と言えばやはり万年筆だろうと思う。
僕自身も、一時期万年筆に挑戦しようと思ったことはある。まずは入門編として無印良品のアルミ軸万年筆を使ったことがあって、それはそれで気に入っていたのだけど、結構あっという間にインクが無くなる。
ガシガシ書いていて、さあこれから!という時にインク切れが発生して、これまたそんな時に限ってカートリッジを切らしていたりする。
しょうがないのでとりあえずその辺りのコンビニで安いボールペンを買い、その内にインクを買わなくては…と思っているうちにカラカラに乾いてしまい、面倒くさいから放置…ということを少なくとも10回は繰り返しているだろうか。
乾いた万年筆は湯のみ等に食器用洗剤を数滴垂らしてお湯を注ぎ、ペン先部分を一晩つけておけばだいたい復活する。だが、面倒ばかりでなかなか愛着がわかず、結局ふだん使いにはボールペンというお手軽な選択に逃げてしまう。

そんなわけで、万年筆ほど面倒がなく、それなりに重厚感があって愛着の湧きそうなペンをずっと探し続けていた。
工業デザイナーをやっていた時にはパイロットの「ハイテックC」というプラ軸のペンをダース単位で買い込み、アイデアスケッチを描き飛ばすのにガシガシ使っていた。替え芯もないし、インクが無くなる頃には先も潰れるので使い捨て。
その後も幾つかのゲルインキボールペンを渡り歩き、最近は三菱の「uni-ballシグノ」が結構お気に入り。
色は黒ではなくブルーブラックかブラウン・ブラックを使うことが多い。
なんといっても極細で書きやすく、僕の強い筆圧でも潰れないところが気に入っているのだが、所詮安価なプラ軸ボールペンの悲しさ。重厚感はカケラもないし、他人のペンとよく似てるのでとにかくひんぱんに失くす。愛着以前の状態だ。
何とかならないかなあと悩んだ結果、万年筆みたいな(ちょっと高級な)ボールペンの軸に、お気に入りのシグノが入らないかと思い始めた。

ググってみると、同じように考える人はいるもんで「JIS規格「ゲル J/K/L互換リフィル」で、大人のボールペンを作る」という記事がヒット。
まさに思い描いていた通り、シグノ系の芯をOTHOのボールペン「LIBERTY」に入れることができるらしいと知る。
この「LIBERTY」の嬉しいところは、OTHOのラインナップでも相当に様々な替え芯が選べ(なんと筆ペンまで選べる!)、シグノの芯も入る所。
標準の替え芯は300円くらいするらしいけど、もしインク切れになってもシグノならそこら辺のコンビニや100円ショップでも手に入る。
お値段1050円のわりに軸には高級感さえ漂う。
そんなわけで、最近はこの「LIBERTY」を持ち歩いて嬉しがっている。万年筆の面倒も、プラ軸ボールペンの安っぽさもない、まさに理想の組み合わせだと思う。標準でついてきた黒インクの芯を使い切り、シグノのブルーブラックを入れる日が来るのが今から楽しみでならない。

2012年11月14日水曜日

SHOT NOTEから普通のメモパッドへ回帰


SHOT NOTEというのはキングジムの発売したメモ帳やノート類のブランド名。
何が新しいかというと、iPhoneやAndroidのカメラアプリと連携していること。
他社からも似たコンセプトの競合製品が次々発売されたけど、基本的な仕組みは概ね同じ。
四隅や周辺にマーカーのある独特なレイアウトのノートに手書きでいろんなことを書いたり、ポストイットやちょっとしたレシートくらいなら貼り付け、それをアプリで撮影すると歪補正をしてくれて、斜め上から撮影しても真四角の状態で取り込み、jpegやPDFにできるというもの。日付や通し番号はOCRもしてくれて、EverNoteやDropboxに送信すると付加情報として画像にくっつけてくれる。
アナログなメモをデジタルに変換するツールとしては結構便利で、ちょっとした紙ものをすぐに失くしてしまう僕としては一時期なくてはならないアイテムだった。
その流れで最近では会議などで配布された資料なども片っ端からScanSnapで取り込んでEverNoteに放り込むようになり、放っておくとすぐに机の上に積み上がってしまう紙媒体の整理もだいぶこなれて来た。
ところが、マーカーなしでも半自動的に歪み補正をして撮影したものをとり込んでEverNoteやDropboxに送信も可能な高性能なアプリ(CanScannerなど)を使うようになって、必ずしもSHOT NOTEは要らないんじゃないかと気づいた。
不細工なマーカーがないことで後から使いやすくなるし、何よりSHOT NOTEは結構高い。ロルバーン、モレスキンなどの高価なノートパッドに匹敵するコストがかかる。だったらいっそ、そういった自分の使いやすいお気に入りの文具を使いたいのが人の常。
まあそう思わなくても、結局デジタル化するのであれば方眼が薄く印刷されたノートパッドであればなんでもいいわけで、おまけにミシン目がついて切り離しやすければなお良し。
そんなわけで、100円ショップのダイソーで方眼ノートを買ってみたが、さすがにこれは製本がひどくて使いにくかった。
何事も行き過ぎは良くないという見本みたいな話。

2012年11月7日水曜日

Androidスマホ用ナビアプリを比べてみた


故あってスマートフォンのカーナビアプリを色々調べている。
最近はスマホ単体で使えるカーナビアプリは調べてみると結構多いのだが、個人的にこれは!と思っているアプリは今のところ下の3つ。

1)docomoドライブネット
2)GoogleMapナビ
3)NAVITIMEドライブサポーター

このうちGooglemapナビだけが無料で、それ以外は月額300円程度の定額課金制なのだけど、いずれも思ったより結構使い勝手がよくて驚く。
昔々パイオニアが出していた「AirNavi」がクラウドにマップデータや渋滞情報を置く通信型カーナビの元祖で、僕自身使ったこともある。マップデータが自動更新される当時としては斬新なナビだったのだけど、ルート検索が遅かったり、リルートが遅くて交差点を曲がり損ねたり、まあ不便も多かった。
ところがこれらのナビアプリはそんなものははるか後方に置き去り、下手するとHDDナビまで余裕で凌駕するレベルなのは正直スゴイ。

まず、docomoドライブネット。アプリの起動直後に承認のための通信が発生するのが少々うざいが、現在使っているパイオニアのサイバーナビと同じマップデータを使っているためか、ルート検索の結果などもまったく遜色のないレベル。というか、製品版カーナビ同様に裏道案内が自粛された優等生的なルート検索。
ただ、その割にマップデータの細部に小さなミスがある。例えば僕の職場などは裏手にある職員用の駐車位置まで少し距離があるのだけど、なぜか隣接する隣の施設へのアプローチから入るように案内されるなど。
パイオニアのマップデータは昔からこういう私道や細道の案内に弱いところがあり、それがなかなか修正されないのが不満。
それ以外で気になるのは単体使用の場合、走行中に自車位置を示す矢印の移動が少々ぎこちない部分かな。
(ドライブネットは外付のGPSユニットと加速度センサーがあるのでそこら辺は後述)

次にGoogleMapナビ。(MapとNaviは別のアプリなので注意)
Googleのナビで一番気に入っているのは、最初に目的地を入力する画面がものすごく使いやすい。
大きく「目的地を音声入力」「目的地をキーボードで入力」「自宅に戻る」「地図表示」の4つのアイコンが表示され、その下には履歴が新しい順に並ぶ。
音声認識が秀逸で、結構正確に認識する。
ルート検索はまあまあ良い感じ。小道の案内ミスもないし、到着予定時間もなかなか正確に出る。思うにこれはストリートビューの撮影車が実走行したデータが反映されているのではないかと思う。無料アプリとは思えない使い勝手の良さ。
全般的に他のアプリよりリルートが早いが、まれにものすごく遅くなる事がある。通信状態にもよるが、他のアプリよりキャッシュが少なく設定されている印象。

次にNAVITIMEドライブサポーター
マップの表示が美しく、手元ではちょっとどぎつく思える配色も、ダッシュボードに設置してみると結構見やすい。
また、交差点や分岐などで標識のグラフィックが出たり、道路の絵が出たりするのは意外と運転しやすい。
不満なところはルート設定のしにくさ。
画面の左下に検索開始ボタンがあるけど、これが小さすぎる。
どうやら乗車前、あるいは運転席に座って手元に持って操作することを前提に設計されているみたいだけど、車に乗り込んですぐにスタンドに取り付ける自分としてはこのボタンが押しにくい。
加えて経由地や目的地の設定開始ボタンも小さく(直径4ミリもない)これどうやって操作するんだ!というレベル。
過去に検索履歴がある地点なら比較的楽に設定できるのだが、新しい地点だと結構難儀する。
他のナビとは一風変わったルートを提案してくる当たりもちょっと独特。
他のアプリと違って経由地の設定もできるところは評価できると思うのだけど、マップ画面以外のインターフェースがお粗末。
また、GPSセンサーのセンシングレートが低いようで、矢印の動きがぎくしゃくするほか、ルート案内が常に遅れ気味。特にカーブを曲がった直後などの方位変化が遅く、右左折が連続する場合などは自分がどこを向いているかわからなくなることもある。

さて、ここまでは単体での操作感。
docomoドライブネットに関しては専用のクレードルが別売りされていて、これを買うことで機能がアップができる。
まず、専用GPSに学習機能が内蔵されていて、車の位置がかなり正確に修正される。加速度センサーも市販ナビレベルの高精度のものが内蔵されている模様。トンネルの中や立体駐車場の出入りなど、他のナビでは自分の位置がどんどんずれていく場面でも、これがつながっているとそのへんもよきに計らってくれるのがよい。
一方で走行中のルート検索操作などは一切できなくなる。このあたりも製品版ナビに近いという感覚。
また、加減速の具合をもとにエコドライブ度合いをインジケータランプの色で教えてくれるおまけ機能付き。
所で、僕が今使っているスマホでは本来「ドライブネットクレイドル01」というスマホ向けの製品が対応機種。なのだけど、クレイドルのホルダーとGPS・センサーが一体化されている関係で下向きに充電端子が出ている機種だと逆さまにしないとセットできなかったり、ジェル吸盤じゃないのでシボ付きのダッシュボードだとうまくセットできなかったり、思いのほか使いづらい。
そんなわけで僕は、あえてタブレット用の「ドライブネットクレイドル02」を導入し、ホルダーは付属の物ではなく自分の好きなものを別に購入し組み合わせて使っている。01と違い02はセンサーユニットが別体式なので配線の取り回しに若干不便があるものの、普通に認識するし、センサーユニットをダッシュボード奥のベストポイントに設置できるので性能的には安定する。

ナビアプリはこの他にも存在するし、7500円という高額のマップ完全ダウンロード型などもあるので折を見てまた色々試してみるつもり。

2012年11月5日月曜日

「BioLite」キャンプストーブ火入れ式


僕は海外のサイトから直接購入したのだが、国内ではモンベルが取り扱いを開始し、おまけにAmazonでも買えるようになったらしい。結構人気の様子。
実を言うと手元に届いたのは8月。試そう試そうと思っていたけど忙しさでとても手が回らず、おまけに真夏に焚き火はやりたくないのでここまでずれ込んだ次第。
この「BioLite」CampStove。要は強制送風が付いた個人用の小型焚き火台。薪をくべる炉の部分はステンレス製。サイズは500ccのコーラ缶くらいで、収納時には炉の中にすっぽりファンとバッテリーが入ったシステム部が収められている。
使う時にはこのシステム部を取り出して炉に抱きつくように固定する。熱電対(?)も付いているので、一旦火力が安定すると送風用の電力を自力で賄うことができるというシロモノ。
おまけにUSBのソケットを備えてケーブルでスマホの充電ができるおまけ機能もあり。簡単に言ってみれば超小型の火力発電所。
燃料はそこら辺の枯れ枝でOKで、用済みの割り箸や固くねじった新聞紙などでもOK。ただ、送風機の風で巻き上げられるので紙類は焚き付け以外にはあんまり使わないほうがよいかもしれない。
試してみると3分ほどでインジケーターが緑に変わってUSBに出力が始まり、直径1センチほどの枯れ枝を10センチくらいに折って5~6本放り込んだ状態で15分ほど発電が持続した。
竜巻状にオレンジ色の炎が立ち上り、投入した薪は完全に燃焼、後には白っぽい灰しか残らなかった。
今回は鍋をかけていなかったので火力のほどはわからないけど、昔使っていたMSRのウイスパーライトくらい(数分でコーヒー2~3杯の湯が沸く)はありそう。
ただ、使用後の炉の内側はススで真っ黒に汚れていて、そのままシステム部分を収納したいとはちょっと思えない。このあたりみんなどう工夫しているんだろうか?

2012年11月1日木曜日

「イブの時間」観てみた

最近思う所あってロボット物の小説や映画を改めて集中的に観なおしている。

ASIMO効果?で一時期ちょっとだけ盛り上がった国内の二足歩行ロボットのフィーバーが沈静化し、ロボットという言葉自体が最近かなり地味目。いや、どっちかというと時代遅れ的印象さえあるのかも。
しかし現状はむしろサイバーダインのパワーアシストスーツだとか、もう少し砕けて富士重工のアイサイト技術のように、ロボットに代表されていた自律制御の技術がそれぞれの分野で細分化され普及が進んでいる状態で、もうそれほど騒ぐほどのものではなくなったというのが正しいか。
一方で、アマチュアロボット愛好者の登竜門だったはずのロボコンやマイクロマウスなど、トッププレーヤーの技量と興味が先鋭化(高度化)し過ぎて初心者に敷居が高すぎ、同時に一般人の興味のレベルから大きく乖離してきた点が個人的にはもっとも問題だと思っている。
でも、この事を関係者に問題提起しても、(彼ら自身が理系で興味が技術方向に偏っているせいか)どうも「何も知らない素人が騒いでいる」程度の認識。まともに捉えられていないのかバカにされているのか、とにかく非常に反応が鈍い。
僕がこの事を説明する時はよく野球やサッカーに例えるのだけど、ある物事を社会的に認知させ、普及を目指すためには、子供から老人世代まで、それが社会の各世代いずれにとってもリアルな(身近な)距離感に常に近くにあって、たまたま興味を持った人が気軽に参入できる状況が整備されている事が大事だと思う。
例えばこれが野球だと、少年野球、リトル、高校野球、プロ、職場チームやシルバー世代まで、個人でも参加を希望すればどこかが受け入れてくれる土壌が整っている。
後からスタートしたサッカーのコミュニティも同様で、幼稚園サッカーから頂点はJリーグ、そして海外のクラブチームまで、上を目指せばどこまでも高みを目指せると同時に、趣味でちょっとかじる程度でも違和感なく溶け込めるチームが必ずどこかにある。しかもお試しであれば着の身着のままでも参加でき、それほどコストをかける必要もない。

だが、ロボットのコミュニティにはその辺の敷居の低さというか広がりを重視する傾向がまだまだ弱く、加えてちょっとがんばろうと思うとそれだけでえらくコストがかかる。
確かに、経験レベルの低い初心者や、そもそもそこまでガッツリはまるつもりのない趣味的参加者は道を極める者からすると目障りであるのかも知れない。でも、そういう「ちょっとカジッた程度」の初心者、アマチュア層がいずれ熱心なエバンジェリストとなって、物事は一般社会に広く浸透していくものだと僕は思うのだ。
お金の面もしかり。愛好者が増えマーケットニーズが増えれば、そこにビジネスが生まれる。
でも、なぜか彼らはむしろそういった取り組みに背を向けているようにさえ思える。

そんなわけで、僕にとっては、クリエーターが描く「ロボット」の概念は、それがエンターテーメントを志向しているほど参考になる。ハリウッド映画はもちろんとして、やはり日本人としてはアニメ作家の持つ「ロボット」のイメージを理解したいと強く思う。

前置きが長くなったが、「イブの時間」はそういった意味でものすごく参考になった。ストーリーももちろん面白かったのだけど、登場人物のロボットに対する距離の置き方は、ハリウッド映画とまた違っていていかにも日本的でいろいろ考えた。