昨日書いた新潟市美術館の件だけど、これが結構生臭い話になってきた。
市長は自らが任命した現館長のアートディレクターを3月末日付で解任するそうな。
まあ、表向きは任期満了ということになるけれど、任期一年の契約制で何年も更新してきたモノをやめるのだから更迭だよね。
この事件についてぼくの持論はこう。ミュージアムが仮に非常勤の最高責任者を置くのなら(別にそのこと自体は悪いことでもなんでもない)、その人はあくまでも看板役であって、実際に館の大方針以上の舵取りをすべて任せてはいけない。やっぱり常勤の実務担当者が日々の運営実務を取り仕切る権限を持つのが正しい姿だと思う。
現場に臨場してみないとわからない問題は多く、しかもそのほとんどがじっくり腰を据えて連続して観察しないと分からないもの。(このあたり最近しみるほど痛感してるけど)
かの館長にしても、いくつもの美術館の館長を兼任し、イベントや講演で日本中を駆け回っていたそう。さらに自分の会社もあり、館にはよくて月に何回しか顔を出せてなかったのじゃないだろうか。
そんな状態なら、本来なら現場の代理人として重用すべき経験豊富な学芸員が立て続けに館を去るのは異常だし(表向きには異動という通常人事)、後を埋めたのは経験の浅い若手だけ。美術館の使命とも言える美術品の収集活動は途絶え、フロアは荒れたという。
文化施設の運営には目新しく斬新な発想も大事だけど、それを下支えするのはあくまでも経験や知識という一見地味なスキルで、この両者が奇跡的なバランスで拮抗した時のみ、ミュージアムは「化ける」。
どちらかが欠けるとしばらくは惰性で走るけど、勢いが尽きた瞬間一気に崩壊する。
恐ろしい。本当に。