自分が小学生になるかならないかの頃、家の近所に菓子パンの移動販売車がよく回ってきていた。
「ロバのおじさんチンカラリン、チンカラリンロンやって来る~♪」というテーマソングを流しながら軽ワゴンでやって来て、近所の公園の脇でしばらく停まって客をさばいていた。
一個数十円だったと思うけど、百円玉を何枚か握りしめてよく買いに行った記憶がある。
最近見かけないのは、コストがパンの値段に見合わなくなったのか、それとも日中住宅地にそもそも人が少なくて商売にならないのか。
ほかにも、軽トラの荷台に専用の圧力釜を載せた「ポン菓子」売りなどもよく見かけた。
お金の他に米を2合くらい袋に入れて持って行くと、何人か分まとめておもむろに釜に突っ込み、ザラメ糖らしきものを一緒に投入。しばらくあぶりながらハンドルを回し、圧力計の針を見計らって釜のフタを木槌で叩いて一気に開放。「ドカーン!」という音と大量の水蒸気ともに元の5倍~10倍ほどに膨れた甘い米菓子が金網のかごに吹き出してくるというもの。
要は急減圧で穀物内の水分が膨れ上がり、ポップコーンのように米粒そのものをふくらませる理屈なのだけど、減圧時の音が迷惑なのか、こちらも最近は見かけない。
ポン菓子そのものは今でもよく見かけるのでどこかで作ってはいるのだろうけど。